生産者さんインタビュー:道の駅つる生産者組合の組合長が持つ農業への思い(清水一夫さん:後編)
「都留文科大学」の学生さんのご協力のもと2022年よりスタートした、道の駅つるの生産者さま方へのインタビュー企画。
今回は、第一回目(清水一夫さんへのインタビュー)の後編です。
前編では「道の駅つる」へ出荷しているお野菜について伺いました。後編では、清水さんが育てていらっしゃるその他のお野菜や、都留の農業の課題などについて伺います。
目次
清水さんが育てているたくさんのお野菜
清水さんは広大な畑でいくつもの種類の野菜を生産なさっていますが、そのすべてが道の駅つるへ出荷するものではないそうです。ご自身で育てられているお野菜や、それらから作る加工品についてもお話しいただきました。
–すごく広い畑ですね。白菜や里芋以外にもお野菜を作ってらっしゃるんですか?
「サツマイモや大根、キノコなんかも作ってるよ。だけど出荷はしてないんだ。」 |
清水さんの畑では夏の間、富士吉田市の「ふじさん牧場」から牛を二頭借りてきて、放牧しているそうで、、
「畑が100a(アール)もあると、一人や二人では全部は使えないんだ。でも放置してたら草生えちゃうから、牛に草食べてもらってるの。今年はサツマイモも作ったけど掘ってなくて、上の葉っぱを牛にあげちゃったんだ。」 |
※葉っぱだけがなく、土に埋まったままだったサツマイモ。たくさんあるとのことで収穫体験をさせていただきました。こんなにたくさん!そして大きい!
梅の栽培もなさっているという清水さん。お話を伺っていると、自家製の梅干しをわざわざ冷蔵庫から取り出し、味見させてくださいました。
※清水さんにいただいた梅干し。酸っぱすぎず、塩っぱすぎず、とても美味しかった!道の駅つるで販売してほしいと思ってしまうくらいでした。
そのほかにも、味噌や干し芋も手作りしていらっしゃるという清水さん。おかずもおやつも、調味料も、自給自足できるものが非常に多い印象でした。
―道の駅つるに出荷しているお野菜は、その年に獲れたものはほとんど出荷なさっているのですか?
「もし1,000個作ったって全部が100点満点じゃないからね。悪いやつも出てくるから。年によっては天候なんかによって7割になっちゃうとか。1,000作ったから1,000出荷できる訳ではないんだよね。」 |
※こちらの大根は、大きく育ちすぎて出荷をやめたそうです。育ったから全て出荷できるわけではない、農業の大変さの一つを実感しました。
―農業をするうえで大変なことはありますか?
「やっぱり天候に左右されるのが一番大変だよ。台風とか。獣害もあるけどね。ここらへんだとシカだね。猿はいない。」 |
※獣害対策の網
清水さんの農業への真摯な姿勢から、農業は、天候や周囲の自然環境との駆け引き・コミュニケーションが大事なんだなと感じました。いつもうまくいくとは限らないけど、野菜のためにできる工夫はできるだけしようという気概がうかがえました。
都留の農業の課題について
清水さんに「道の駅つる」と都留の農業の現状について伺いました。
―農業に携わる方は、若い年代が少ないイメージですが、都留はどうなんでしょう?
「道の駅の組合員でいうと、やっぱりかなり年齢層が高いんだよね。50代以下なんて数えるくらいしかいない。そこが道の駅のこれからの課題。いかに若手がいないかっていうね。」 |
―そうなんですね…若い人が初めて農業をするとなると食べていけるか不安があると思いますがどうでしょうか?
「それは確かに厳しい面はあるよね。前に地域おこし協力隊の人で、ぶどうとか桃を育てたいって言ってきてね。土地探してくれって言うから探してあげて。ちょうど三年経って今年から自立したんだけど四年目でやっとぶどうとか桃とか出せるようになった。それでも大変だと思うよ。」 |
「農業は全部手でやるわけじゃなくて、田んぼかき混ぜるにもトラクターとかいるでしょ。そうなるとすぐ何百万(円)もかかる。田んぼなんて10ヘクタールや20ヘクタールやらないと話にならないし。農業一本でやっていくのはなかなか難しいね。」 |
―若い人が都留で農業を始めるのに活用できそうな市の制度などは、あるものなのでしょうか?
「市には地域おこし協力隊とかあるし、初期投資の支援もあるんじゃないかな。道の駅でも若手で土地を借りて野菜作って出荷してくれる人が幾人か出てきてるよ。あとお金なんかいらないから土地貸してやる、っていう人が実は多いの。年を重ねると自分で管理できなくて雑草が生えてくるからさ。そんな状態にするくらいならぜひ使ってくれ、って。だから農地自体は借りやすいんじゃないかなとは思うよ。」 |
空いている農地はたくさんあるようで、若い方の農業進出に積極的な思いを覗かせてくださりました。
―実際に農業を始めた若い方は身近にいらっしゃいますか?
「さっき言った果樹なんかもそうだけどね。あともう一人ニンニク栽培始めた人がいるよ。勤めてたところやめて、今は1ヘクタールで曽雌(そし)ニンニク作ってる。元々やってた人の後を受け継ぐ形でね。」 |
※曽雌ニンニクの畑
―都留で農業をするにあたって、他にはない魅力的な点は何ですか?
「水がきれいなところだね。水かけ菜なんてのはどこででも作れるようなものじゃないから。水がきれいだからこそああいう作物ができるんだよ。そこはいいところだよね。」 |
※道の駅つるで販売されている水かけ菜
まとめ
生活の一部として農業を営んでいらっしゃる清水さん。「次はこの品種を育ててみようか」、「この作物に手を出してみてもいいと思ってる」などとお話してくださる姿からは意欲的に農業に取り組む楽しさが伝わってきました。
ご自身のことだけでなく道の駅つるの今後を考え、若手の組合員参加を課題として話してくださったのも印象的で、清水さんと接することで農業に興味を持ち実際に農業を始める方も出てくるのではないか、そんなパワーと魅力が詰まった方です。
以上で清水一夫さんへのインタビュー記事は締めくくりとなります。
生産者の方に直接お話を伺うということができるのは、とても貴重な経験で、今後の都留の農業発展のヒントになるであろうお言葉もいただきました。清水さん、どうもありがとうございました!
生産者インタビューはこれからも続きますので今後もご注目くださいね!
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